桜の咲かない丘

年末から部落長さんから
村の桜を切ることに同意を求められていた。

年明けすぐにまた問われ
躊躇していると
「ひとりも反対者おらんから。ひとりでもおったら切ってもらえない。
反対されたら困るからな」と。

後から来た私たち1世帯が反対したところで・・・と思い
承諾する。

早々に市から業者がやってきて
桜を含む樹齢の長いみごとな木々が切られていった。

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数日間チェーンソーの音が鳴り響き
みるみるうちに木が消えた。

息子は「悲しくなるから見にいかない」と言った。

春はすぐそこ。
今年も見事な桜の下で儚き美しさを愛でることが
出来ると思っていた。

「大木が倒れたら家も車もつぶされる」
「落ち葉の掃除が大変だ」
「雨どいに小枝が溜まる」
「たった数日間だけの桜の開花のために冗談じゃない」

そんなお年寄りの言い分。

いつの間に、日本のお年寄りは
こんな風になっていってしまったのだろう・・・。

花を愛で、季節を感じ、鼻歌を歌い、子供たち孫たちに「キレイだね」と話し
時を重ねてきたのではないだろうか。癒されてはいなかったのだろうか。

全ての作業が終了。
何もなくなった道路を見渡し、おじいさんたちは言った。
「あぁー!せいせいしただ!」

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この丘は、せつない春を迎える。桜の咲かない。

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by soronoki | 2010-02-25 15:22 | * つぶやき

長野県佐久市


by soronoki